インフルエンザ対策 適切な感染予防で、ご自身とご家族を守りましょう!

2018年11月01日

利根中央病院
感染管理認定看護師
松井 奈美

インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられます。日本でも毎年冬季を中心に多数の患者発生と高齢者の超過死亡、インフルエンザ脳症に代表される乳幼児における合併症等がみられる病気です。
インフルエンザは予防できる病気です。一人一人の行動がご自身そしてご家族を守ることにつながります。

ワクチンを接種しましょう。

ワクチンの目的は、発症する確率を減少させること、罹患した場合の重症化予防です。ワクチン接種後2週目より抗体が上昇し、1ヶ月でピークとなり約5か月間効果が持続するため、流行前に接種することをお勧めします。
特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方、妊娠28週以降の方は、重症化予防のため、ワクチン接種と感染予防を実践して罹患しないように注意しましょう。また、同居しているご家族に、小さなお子様、高齢者、基礎疾患をお持ちの方がいる場合は、みんなでワクチン接種と感染予防を行いましょう。

咳エチケットの実践を

ウイルスが体内に侵入すると、増殖しはじめます。24時間ほど経過すると症状が出現します。その頃になると、咳やくしゃみと一緒にインフルエンザウイルスが放出されます。まだインフルエンザに罹ったとわからない状況で人に感染させてしまうことになります。風邪かな……と思った早い段階でマスク着用することが必要です。(図1)

図1 咳エチケット
「政府広報オンライン」より引用。
図1 咳エチケット
「政府広報オンライン」より引用。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/200909/6.html

感染予防は「手洗い」から

インフルエンザは、感染した人のくしゃみやせきなどのしぶきを近くの人が直接吸い込んでしまう飛沫感染と、手についたウイルスが知らないうちに体に入り込んで感染する接触感染があります。インフルエンザウイルスは環境表面で数日生きています。ウイルスは私達の目では確認することができず、気づかない間に手について、ウイルスを侵入させています。風邪の予防は「手洗い」からといわれるほどに重要です。
手洗いは、正しく実施しないと効果が得られません。手洗い方法を確認して実践しましょう。(図2)また手洗いは、咳・くしゃみを手で受け止めた後、食事の前(調理の前)、トイレの後、外出先から帰宅した後には、ぜひ行いましょう。
手指衛生アルコール剤はインフルエンザ予防に効果的です。手に見える汚れがなければ、石けんと水道で行う手洗いの代用になります。またいつでもどこでも手指衛生ができるのでアルコールに過敏でない方は、お試し下さい。ただし、下痢をするような風邪(感染性胃腸炎など)には効果がありませんのでご注意ください。

図2 正しい手の洗い方
前掲「政府広報オンライン」より引用。
図2 正しい手の洗い方
前掲「政府広報オンライン」より引用。

昨年より、利根郡・沼田市の学校で手洗い教室を行っています。子供達と手洗いの歌を歌いながら楽しく勉強をしています。子供達にも、手洗いや咳エチケットで風邪を予防しようと話しています。ご家庭でも、手洗いが行えるように石けんとタオルなどの準備をしてください。また、ハンカチは毎日洗濯したものを持たせてください。

家の中に持ち込まない、持ち出さない、拡げない

これまでの感染予防のまとめをすると、ウイルスを持ち込まないために、帰宅後は手洗いとうがいを行うこと。もし家族でインフルエンザになった人がいたら、状況に応じて、部屋を別にして休む、家の中でもマスクをする、家族がみんなで触るところは拭き掃除をするなど、家庭内で感染対策を行いましょう。
そしてインフルエンザに罹った場合は、小児は学校保健法に従って決められた日数を休むこと、大人は就業先の規則に従って決められた日数を自宅で過ごすこと、復帰した場合、数日間はマスク着用と手洗いなどの実施により、周囲に広げないようにしましょう。

流行期の入院患者の面会

インフルエンザ流行期となる12月1日より、中学生以下の小児は入院患者への面会を禁止とさせていただきますので、ご協力お願いいたします。小児は免疫が完成しておらず、集団生活によってインフルエンザ等の流行性感染症にかかりやすいこと、また適切な感染予防が行えない可能性が高いことなどが理由です。
入院中の患者は、免疫力や抵抗力の低下した方が多く、インフルエンザ等に感染すると、重篤な状況になり、場合によっては命の危険があります。
私達は、患者を守り、安心して治療行えるように対策を講じています。ぜひ地域の皆様やご家族の協力を得て、感染予防に取り組んでいきたいと思います。

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