「withコロナ時代」のくらし方~新しい生活様式への対応~

2020年10月01日

利根中央病院
感染管理認定看護師
松井 奈美

新型コロナウイルスの出現によって私達の生活が変化しました。マスク着用と手指消毒、ソーシャルディスタンスにテレワークなどこれまでにない生活の変化です。3密を避けることから、人の集まる行事が無くなったり、簡素化したり…なんだかさみしい生活になっています。一定の距離を保ちながら、感染予防を実践し、距離はあっても心を寄せ合って、思いやりの心で過ごしていたら、新型コロナウイルスは怖くない感染症になります。正しい知識を持って一人ひとりができることにとりくんで乗り越えていきましょう。

厄介な感染症

新型コロナウイルスは、これまでの感染症と比較してとても厄介な感染症です。一点目は発症する2日前からウイルスを排出しヒトに感染させること、二点目は無症状でもヒトに感染させる可能性があることです。そのため誰が感染しているかわからないのです。

目・鼻・口を守る

新型コロナウイルスは、唾液の中に多く存在し、日常会話で発生する飛沫(しぶき)で感染します。手や肌(皮膚)に着いても感染しません。会話や咳・くしゃみで発生する飛沫が、目鼻口に入ることで感染します(飛沫感染)。またウイルスが付いた手で目鼻口を触ることで感染します(接触感染)。一番大切なことは、「目・鼻・口」を守ることです。
飛沫感染を予防するには、「正しいマスクの装着」が重要です。せっかくマスクを着けていても、正しい装着と取り扱いがされなければ、感染を防ぐことができません。マスクを鼻から顎まで覆って、顔に密着させて装着します。外すときは、マスクの表面が汚染されているかもしれませんので、ゴムの部分をもって外します。マスクの管理方法は以前の利根の保健をご参照ください。

顔を触らないように

人は無意識に顔を触っており、そのうち4割が目鼻口を触っているとの報告があります(図1)。いつの間にか手にウイルスをくっつけて目鼻口を触れて、自分では気づかない間にインフルエンザに罹ってしまうなんてことがあります。新型コロナウイルスも同様です。そのため接触感染を予防するには、普段から顔を触らないように気を付けること、顔を触る時には必ず手洗いや手指消毒を行うことです(図2)。

図1 摂食感染に注意!
厚生労働省ホームページ 「新型コロナウイルス感染防のために」より
図1 摂食感染に注意!
厚生労働省ホームページ 「新型コロナウイルス感染防のために」より

https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kenkou-iryousoudan.html

図2 いつ手をきれいにするのか?
下間正隆「医師が解説!イラストでわかる新型コロナウイルス対策」より
図2 いつ手をきれいにするのか?
下間正隆「医師が解説!イラストでわかる新型コロナウイルス対策」より

https://jokins.jp/2020/09/10/ncov2020-18/

家族内感染を防ぐ

新型コロナウイルスは、高齢になるほど重症化しやすく死亡率が高くなります。そのため高齢者と同居している方は、自身が感染しないように行動すること(3密回避)、そしてすでに感染しているかもしれないと思って家の中でも感染予防が必要です。食事は向かい合って食べない、大きな声でしゃべらない、家に帰ったらすぐに手洗い・うがいを実施するなど、大切な人を守るため家族内感染を予防しましょう。

病気・不安・差別3つの怖さを知り防ぐ

日本赤十字社作成の「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!(図3)」という資料には、新型コロナウイルスが怖いのは「3つの“感染症”」という顔があることで、私達も知らず知らずのうちに影響を受けていると言っています。第一の感染症は「病気」そのもの。未知のウイルスでわからないことが多く不安が生まれることから、第二の感染症は「不安」。私達は生き延びようとする本能によってウイルス感染にかかわる人を遠ざけ、そのことで起こる「差別」が第三の感染症となり、今度は差別が怖くて受診をためらい結果として病気の拡散を招くということ。この感染症の怖さは、病気が不安を呼び、不安が差別を生み、差別がさらなる病気の拡散につながることです。
第一の感染症を防ぐためには、一人ひとりが感染予防を行いましょう。第二の感染症に振り回されないように、立ち止まって一息入れて自分自身を見つめ、趣味や親しい人との交流(安心できる人とのつながり)や今だからできることにとりくんでみてはどうでしょう。第三の感染症を防ぐために、うわさ話はやめて「確かな情報」を選択し、この事態に対応しているすべての方にねぎらい・敬意を払いましょう。

図3 3つの
図3 3つの"感染症"はどうつながっているの?
日本赤十字社「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」より

http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200326_006124.html

一人ひとりができること

誰がどこで感染するかわからない状況です。今後、インフルエンザ流行シーズンに入ってきます。一定の距離を保ちながら、感染予防を実践し、距離はあっても心を寄せ合って、思いやりの心で過ごしていたら、新型コロナウイルスは怖くない感染症になります。不安な気持ちは、親しい人や家族で共有し、話したい時は電話やSNSを活用してコミュニケーションを図りましょう。小さなお子さんや高齢者がいる皆さま、ご家庭で明るい雰囲気で食事をしたり、お散歩しながら季節を感じてみてはいかがでしょうか。
一人ひとりができることにとりくんで乗り越えていきましょう。

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