ジェネリック医薬品を上手に使おう

2016年07月01日

利根中央病院
薬剤部
青木 忠明

国は国民の医療や生活の質を確保し、医療保険財政の改善を目指し様々な施策を打ち出しています。医療費抑制の施策のひとつに後発医薬品の利用拡大があります。日本での後発医薬品のシェアは現在およそ55%で、これを2018年度から2020年度の早い時期までに、欧米並みの80%以上に上げるという目標を掲げています。これが実現すれば医療費の削減効果は大きく、年間に1兆3000億円以上となり、安価な後発品使用により家計負担も軽くなります。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは

  • 価格が安い。
  • 有効成分、効能・効果、用法・用量等は先発品と同じ。
  • 形や大きさ、色、味、添加物などは異なっていてもよい。
  • 先発品が効能追加を行っている場合は、効能・効果等が一部異なるものもある。

ジェネリック医薬品は先発医薬品の再審査期間および特許期間満了後に発売されるため、先発医薬品に比べて研究開発費や製品化までの時間が少なくてすみます。それにより、価格も先発医薬品より安価に設定されているのです。もちろん、有効性や安全性を確認するために溶出試験や生物学的同等性試験、安定性試験などがクリアされています。
ジェネリックとは、英語で「一般的な」という意味です。欧米ではブランド名ではなく、一般名(generic name)が使われることが多く、「ジェネリック医薬品」と呼ばれています。それが世界共通の名前となりました。先発医薬品に対し「後発医薬品」とも呼ばれています。

ジェネリックの工夫

最新の製剤技術により、飲みやすさや扱いいやすさなど、さまざまな工夫を加えたものもあります。

  • 錠剤や粉薬が飲みこみにくい、入れ歯にはさまってしまう →少量の水や唾液で溶けるOD錠(口腔内崩壊錠)
  • 小さくて扱いにくい、大きくて飲みにくい→錠剤を適度な大きさに変更
  • カプセルが飲みにくい→錠剤等への形の変更
  • 薬が苦い→コーティングで苦みを少なく

などの工夫がされています。

ジェネリック医薬品でも価格が違う?

発売されているジェネリック医薬品の銘柄数や発売時期により薬価に差が付けられています。決して、安かろう悪かろうではありません。

処方してもらうには

ジェネリック医薬品は既に全国的に普及が進んでいます。多くの病院・診療所で処方され、保険薬局でも調剤されています。利根中央病院でもジェネリック医薬品の処方をすすめています。それではジェネリック医薬品を処方・調剤してもらうにはどうすればいいでしょうか。

医師に相談
先ずはかかりつけの医師に相談してみましょう。
調剤薬局で薬剤師に相談
処方箋を渡す時に希望を伝えてみましょう。薬剤師と相談しながら、ジェネリック医薬品を決めることが出来ます。
処方箋を確認
変更不可欄に?や×がついていない薬はジェネリック医薬品に変更できます。ただし、ジェネリック医薬品が発売されていないものもあります。
また、薬の名前の先頭に【般】と書かれたものは、一般名処方と呼ばれ、先発医薬品・ジェネリック医薬品を問わず、どの医薬品でも調剤を受けることができます。

言い出しづらい時には

医師に直接言いだしづらい事もあるでしょう。そんな時には、

「お願いカード」を提示
市町村や健康保健組合からの配布も増えてきた「お願いカード」を利用するのもいいでしょう。このカードを提示すれば、「ジェネリック医薬品を希望します。」という意思を簡単に伝えることができます。(図1)
図1:健康保険組合連合会HPより抜粋
図1:健康保険組合連合会HPより抜粋
「お願いシール」を貼付
保険証や診察券、お薬手帳などに貼って希望を伝えることができます。(図2)
図2:厚生労働省HPより抜粋
図2:厚生労働省HPより抜粋

お薬手帳を利用しよう

調剤薬局でジェネリック薬品に変更されて調剤された薬は、医師がすべてを把握するのが大変です。調剤薬局でお薬手帳の記載をしてもらいましょう。そして保険証や診察券などと一緒に保管しておくとよいでしょう。

ジェネリックで賢く節約

超高齢化社会を迎え増え続ける医療費が国家財政を圧迫、また年金支給額の引き下げや消費税率引き上げなどが家計を脅かしています。先発医薬品の2~7割の支払いですむジェネリック医薬品を使用して賢く節約しましょう。

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