TCHってなに?~若いうちから癖を直してリラックス~

2014年06月01日

利根歯科診療所
歯科衛生士
井上未来

六月は歯の衛生週間があります。お口の中の病気といえば、むし歯と歯周病の二つが広く知られていますが、いまTCHが注目されています。
TCHとは、"Tooth Contacting Habit"(歯列接触癖)の略で、上下の歯を"持続的に" 接触させる癖のことです。何もしていないとき人間の上下の歯は接触していません。くちびるを上下閉じていても上下の歯は触れていないのです。
たとえば、考え事をしているときなどに上下の歯を触らせたままにしていないでしょうか?

TCHの問題点

上下の歯は会話や食事をする際の接触する時間を含めても一日20分程度が正常だと言われています。
上下の歯の接触と聞くと一般的には「かみしめ」や「食いしばり」を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際にはグッと強い力でなく上下の歯が接触する程度の力でも口を閉じる筋肉は働いてしまうのです。微弱な力でも接触時間が長時間になれば筋肉は疲労してくるため、顎関節は押えつけられることになり、感覚が敏感になって痛みを感じやすくなってしまいます。
このようにTCHがあると顎関節への負担が増えるだけでなく、歯や歯周組織の病気(知覚過敏、破折、修復物の破損など)の悪化につながる可能性が考えられています。TCHがあるからといって、かならずこのような不快症状が出るわけではありませんが、加齢とともに自覚症状が出てくるので、若いうちからTCHがあるかどうか気づくことが重要です。実際、利根 歯科を受診する患者さんの中にも、TCHがあると思われる方が多くいらっしゃいます。

TCHのチェック方法

  1. 姿勢を正しくして正面を向き、目をとじる
  2. 唇を軽く閉じる
  3. 上下の歯が接触しないように軽く離す

これに違和感を感じるようであればTCHの可能性があります。

TCHがある人の口の中

常に頬に歯が押し付けられているので頬の粘膜に圧痕ができ(図1)、舌が緊張していることが多いので舌にも圧痕ができます(図2)。ただし痕があるからと言ってかならずTCHがあるわけではないようです。(図1・2は「NHKきょうの健康」3月12日放送分より) 図3は利根歯科診療所の患者さんの写真ですが、歯がすり減っているのがわかります。

  • 図1.TCHで出来た圧痕
  • 図2.舌にも圧痕が!
  • 図3.すり減ってしまった歯

対策

TCHは無意識な習慣なのでやめようとしてもすぐにやめられるものでもありません。日常のストレスを発散させるためにTCHをしてしまっているとも言われているので、まずは、自分に合ったストレス解消方法を見つけることも大事です。
そのほかの対策方法としては、パソコンやテレビの隅に目印となるところに「歯を離す」と書いたふせんなどを貼っておき、それを見たら上下の歯を離すということを繰り返していくと、徐々に歯が接触している時間が短くなります。具体的には、「唇を閉じて、上下の歯を離し、頬の筋肉の力を抜く」ことを意識し、1日に何度も練習してみてください。「歯が接触していると逆の癖」になるようにしましょう。

お口のまわりの「安静な状態」をつくりましょう

TCHの改善方法を実行すれば、アゴの関節とお口のまわりの筋肉は非常にリラックスし、緊張やこわばりから解放されます。以前ご紹介した、あいうべ体操を一緒にするとより効果的です。合わせてかかりつけの歯科医院での定期チェックをすることもおすすめします。

図4.お口のリラックスにはあいうべ体操が効果的!
図4.お口のリラックスにはあいうべ体操が効果的!

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