命をつなぐ「薬の情報」管理 ~最新の情報が必要~

2011年11月01日

利根中央病院
薬剤部長
大竹美恵子

「あなたは現在、どのような病気で、何という薬を飲んでいますか?その薬は、どのように飲んでいますか?」と聞かれて、すぐに答えられるでしょうか。
非常時に備え、正確に『薬の情報』を管理することは、ご自身の命を守るためにも、たいへん重要な事です。

薬の情報って何?

『薬の情報』とは、あなたが飲んでいる、または使っている【薬の名前】と【用方法量(いつ、どのくらいの量をどのように飲む・どのように使う)】です。薬の名前は成分含有量や単位まで正確に知っている必要があります。

なぜ管理が必要なの?

東日本大震災では、多くの方が地震と津波で薬を失いました。また、かかりつけの病院・調剤薬局で保管されていたカルテや記録も失われてしまったため、「飲んでいた薬が分からない」という問題が多発しました。避難先の救護所で医師や薬剤師に飲んでいた薬の質問をされ、「血圧の薬で白い粒で・・・」といった曖昧な答えであったため治療効果のない薬を投薬されたり、錠剤の色を聞かれたのに錠剤の包装の色を答え規格違いの薬を投薬されるなどの事例が多数報告されました。 
薬によっては突然飲むのを止めてしまうと、リバウンド現象(反動で内服前より症状が悪くなる現象)や離脱症状(禁断症状のような状態)などの重大な副作用が現れることがあるため、薬の情報管理が必要なのです。

情報の管理方法

まずは、『薬の情報』を準備しましょう。

お薬手帳
薬の名前・用法用量・投薬日数・調剤した薬局名・副作用歴・アレルギーの有無などが記載されています。
医薬品情報提供書
当院薬剤部でも発行している薬の説明書です。
カード作成
名刺サイズのカードに、自身の氏名・住所・生年月日・薬の名前・用法用量を書き記します。防水加工をすると更によいでしょう。
写真に撮る
書くのが面倒な人は、薬の特長がわかるように写真に撮りましょう

情報の保管方法

いつも持ち歩く物に入れておく
非常時に持ち出す物だけでなく、いつも持ち歩いているバッグや財布に入れておきましょう。
親戚・知り合いに保管してもらう
ご自身で保管している『薬の情報』が紛失してしまう可能性があります。そこで、一緒に住む家族、離れた所で暮らす親戚・知り合いにも、あなたの『薬の情報』の保管をお願いし、二重・三重の対策をしておきましょう。
『薬の情報』は最新の情報を保管しておく必要があります。定期的に確認し、正しい情報を保管しましょう。

最後に

東日本大震災の被災地で診療活動を行った医師の、「お薬手帳によって、何の病気でどの薬が必要か一目で分かり役立った。」という報告もあり、今回の大震災を境に『薬の情報』管理方法が注目されてきています。当院でもお役に立てるよう薬局窓口で対応をしています。
「備えあれば憂いなし」という諺にもあるように、ご自身の命を守るため、『薬の情報』を管理しましょう。

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