来院される皆さんへ
診療科のご案内
人間ドック・健康診断
医療活動ご紹介
総合支援センター
相談支援室
医学生実習
初期研修医募集
後期研修医募集
看護部のご案内
技術部門のご案内
健康情報

さまざまある「めまい」

2020年2月1日

利根中央病院

耳鼻咽喉科医師

桑原 幹夫

 

今回は耳、特に中耳の病気についてです。中耳の病気と聞くとどんな印象をお持ちでしょうか。子供の耳が痛くなって熱が出る、いわゆる急性中耳炎が最も思い浮かぶでしょうか。それ以外にも中耳炎には、いくつかの病態が存在します。

中耳の構造

中耳とは鼓膜と、骨に埋まった内耳に囲まれた空間です。耳管という管で鼻の奥と交通しています(図1)。鼓膜で受けた音の振動を、耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)という3つの小さな骨を介して、内耳に伝えるのが役目です。耳小骨を3つ持つのは哺乳類だけです。カエルは1本しかありません。3つの耳小骨が組み合わさって動くことで、空気の振動を、内耳の中の液体の振動に効率的に変換します。人類が陸上で生活するために長い時間をかけて作られました。耳小骨が十分に動くように中耳は空気で満たされている必要があります。そういった行き詰まりの構造であることで、様々な疾患がおこります。

図1 中耳の構造

@急性中耳炎
鼻の細菌やウイルスが耳管を介して中耳に感染し、炎症を起こします。通常、痛みを伴い、発熱します。細菌感染に対しては、抗菌剤が有効です。炎症が強くなると、鼓膜がやぶれ、耳漏(耳だれ)が出ます。炎症が収まれば、鼓膜の穴は自然に閉じます(図2)。

図2 正常な鼓膜所見と急性中耳炎の鼓膜所見

A慢性中耳炎
急性中耳炎が長引いたり、繰り返すことで鼓膜の穴がふさがらなくなった状態です。
鼓膜の穴から菌が入りやすいので、炎症・耳漏を繰り返します。聴力も炎症の反復により、次第に低下します。穴をふさぐためには、手術が必要です(図3)。

図3 慢性中耳炎

B滲出性(しんしゅつせい)中耳炎
鼓膜は皮膚からできた丈夫な膜であり、空気は通りません。鼓膜の内側の空気は、全て耳管を通って供給されます。耳管の通りが悪くなると、中耳の粘膜で作られた粘液が、排出されずに中耳に溜まります。この耳に粘液が溜まった状態が滲出性中耳炎です(図4)。

図4 滲出性中耳炎

C真珠腫(しんじゅしゅ)性中耳炎
耳小骨の周囲は狭く、炎症などにより空気の通りが悪くなりやすい場所です。滲出性中耳炎と同様に、十分な空気が入らないと、次第に耳小骨周囲の鼓膜はへこんでいきます(図5)。

図5 真珠腫性中耳炎

部分的にへこんだ鼓膜は袋状となり、しだいに奥へと入り込みます。この袋状の鼓膜を真珠腫、入り込んだ状態を真珠腫性中耳炎と呼びます。この袋は周りを破壊しながら大きくなりますので、難聴・耳漏・めまい・耳鳴り・顔の麻痺・髄膜炎などを生じます。治療には手術が必要です。
また、生まれつき鼓膜の成分が中耳に残ってしまい、それが真珠腫となることがあります。先天性真珠腫といい早めの治療が必要です(図6)。

図6 先天性真珠腫

慢性中耳炎に引き続いて起こることもあります。真珠腫性中耳炎は進行すると重篤な症状を引き起こし、致命的にもなる疾患です。聞こえが悪い、耳漏がでるなどの症状がありましたら専門医への受診をおすすめします。手術は以前であれば1ヵ月程度の入院を必要としましたが、内視鏡などの機器の進歩により、最近は1週間程度で退院できる方がほとんどです。

以上、中耳炎についてお話しましたが、もちろん中耳炎以外にも耳の病気はたくさんあります。気になることがありましたら、遠慮なくご相談ください。

 
関連記事

耳の病気に関連する記事です。

関心のある方はぜひお目通しください。

 

「さまざまある『めまい』」 (2020年2月号)

 

「花粉症とその対策〜早めの準備で発症予防〜」 (2013年2月号)