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摂食嚥下障害と誤嚥性肺炎

2018年9月1日

利根中央病院 リハビリ室

言語聴覚士

林 茂宏

 現在、肺炎は日本人の死因第3位で、そのうち95%が65歳以上の高齢者です。
 高齢者の肺炎には、嚥下(えんげ)機能の低下による食物や唾液などの誤嚥(ごえん)が原因で起こる誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)が7割以上を占めると言われています。
 今回は摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)と誤嚥性肺炎、その予防方法についてお話しします。

摂食嚥下障害とは

「摂食(せっしょく)」とは食物を口に入れ、噛みこむ動作を言います。また「嚥下」とは、口の中のものを飲み込んで胃に送ることを言います。
 食べたり飲み込んだりする動作が上手くできない状態を摂食嚥下障害といいます。食物を上手く飲み込めないと食事が摂りづらくなるため、「低栄養や脱水を起こす」「食物が喉に詰まって窒息する」といった危険があるほか、「誤嚥性肺炎」を引き起こす原因にもなります。

誤嚥性肺炎とは

 水や食物、胃食道逆流物などが誤って気管に入ってしまう状態を誤嚥と呼びます。その誤嚥したものが肺まで入ってしまい、細菌が繁殖して炎症を起こすことで生じるのが誤嚥性肺炎です。

摂食嚥下障害の原因

 摂食嚥下障害には原因があります。代表的なものとして以下の3つが挙げられます。

【その1】 形態的な問題
 形態的な問題とは、口腔、咽頭、食道などの、摂食嚥下のために必要な器官の構造の問題のことで、食物の通り道に障害物がある、あるいは食物の通り道が正常ではない形状となっている状態をいいます。
 身近なところでは、むし歯や歯周病などで歯が抜け落ちてしまうことが該当します。差し歯や入れ歯などで、歯のかみ合わせがしっかりできていれば良いのですが、入れ歯が合わない、しっかりと奥歯で噛めないことは摂食嚥下障害を起こします。

【その2】 神経・筋系の異常  
 口腔や咽頭、食道などの摂食嚥下に必要な器官の構造が正常であっても、それらの器管の運動に問題があることで生じます。原因疾患として脳卒中や神経変性疾患(パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症など)が挙げられます。特に脳血管障害の急性期には、全患者の3割以上に、摂食嚥下障害が起こるといわれています。多くの場合、治療やリハビリテーションの効果が得られれば、1ヵ月くらいするとある程度の改善が期待できます。しかし、残念ながら改善がみられないケースもあります。

【その3】 加齢の影響
 加齢に伴う機能低下により、摂食嚥下に必要な機能が低下してきます。
 例えば、咳の反射が低下することで、「むせる」という反射が起こりにくくなり、誤嚥をしていても気付かなくなってしまいます。また、飲み込みのために必要な筋肉も加齢とともに衰えてきます。
 また、薬剤の影響も摂食嚥下障害に大きく関係します。例えば、抗コリン作用のある薬(一部のパーキンソン病治療薬や抗アレルギー薬、胃腸薬、風邪薬など)を内服している場合は、唾液分泌が抑制されてしまいます。また、抗てんかん薬や抗精神薬は、嚥下反射を抑制する可能性があります。

誤嚥性肺炎を予防するために

 低下してしまった摂食嚥下機能を元のレベルまで改善することはなかなか難しいのが現状です。しかし、さまざま工夫により誤嚥性肺炎を予防することは出来ると考えます。

●口腔ケアの重要性
 お口を清潔に保ち、口腔内細菌を減らすことが誤嚥性肺炎の予防になります。毎食後の口腔ケア(歯磨き)を丁寧に行いましょう。また入れ歯も外して歯ブラシや入れ歯ブラシを使用して磨いてください。入れ歯用洗浄剤も使うと効果的です。また未治療の虫歯がある場合や入れ歯が合わないようでしたら、早めの歯科受診をお薦めします。

●食事の調整
 特に水分が誤嚥しやすい性状です。摂食嚥下機能が低下してくると嚥下反射(ゴックンの反射)が起きるより前に気管に入り込んでしまうことがあります。そこでトロミ材を使用し水分にトロミを付けることで誤嚥を予防することが出来ます。特に味噌汁などは液体と固体の両方が存在する食物の為、嚥下が難しい食品です。

●口腔リハビリ
 早口言葉やあいうべ体操(図1)、カラオケなど普段から口や舌、喉を使うことでそれぞれの筋肉を鍛えたり、食事の前に行うことで緊張を解いたりする効果があります。

図1 あいうべ体操


摂食嚥下障害かな?思ったら

 当院では喉頭ファイバーを使った嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)(図2)を行っております。その後、治療やリハビリ、食事のアドバイス等が可能です。食べる事、飲み込む事に不安がありましたらまずは主治医までご相談ください。

図2:嚥下造影検査

レントゲンを使用して、バリウムの入った食品を食べていただき、飲み込みの様子を確認します。