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腎臓の機能と人工透析――末期腎不全から腎代替療法――

2018年3月1日

利根中央病院 腎臓内科医長

岡部 智史

 腎臓は、人間が生きていくのになくてはならない臓器です。末期腎不全になると、「腎臓の代わり」となる手段が必須となります。この「腎臓の代わり」が腎代替療法です。今回は、末期腎不全から腎代替療法についてご紹介します。

慢性腎不全とは

 はじめに、慢性腎不全についてご存知でしょうか?慢性腎不全になると、尿をつくるといった役割が果たせなくなるため、老廃物や余分な水分が体に貯まってしまうことで、体のだるさや食欲不振、むくみや息切れなどといった症状を呈します。しかし、腎臓は肝臓と同様に「沈黙の臓器」ですので、こういった症状は末期腎不全になるまで進行しない限り現れません。

腎機能を表すクレアチニン数値

 自分の腎臓の状態(腎機能)を表す数値として、血液検査のクレアチニン(Cr)という数値があります。クレアチニンは筋肉内でエネルギーを放出する時に作られる代謝産物です。健康であれば、血液中のクレアチニンは腎臓でろ過され、そのまま尿中に排出されます。腎機能が障害されていると、尿中に排出されにくくなり、結果として血液中に溜まります。クレアチニンは腎機能の低下とともに徐々に値が高くなっていき、その状態が続くと慢性腎不全になります。日本人でCr 1.0mg/dl以上が続けば、間違いなく慢性腎不全と言ってよいです。早期診断・早期治療により、腎機能の低下した状態が続くに歯止めがかけられれば、末期腎不全となる可能性は相対的に低くなります。しかし、十分に治療介入ができず、慢性腎不全が進行し、(患者さんの症状などによって異なりますが)Cr 4.0〜8.0mg/dl以上となると、末期腎不全の範疇(はんちゅう)となります。

腎臓の代わりとなる手段 腎代替療法

 腎臓は、人間が生きていくのになくてはならない臓器です。末期腎不全になると、生きていくのに「腎臓の代わり」となる手段が必須となります。この「腎臓の代わり」が腎代替療法であり、@血液透析、A腹膜透析、B腎移植、の3種類があります。
 まず、@血液透析についてですが、日本で最も普及している腎代替療法です。血液透析は、週に3回、1回4〜5時間かけて、身体の外に血液を取り出し、血液中の老廃物や余分な水分を取り除いたあと、再び体内に戻す、という治療を一生かけて行っていきます(図)。

 


 2015年時点で、日本全国の血液透析患者数は30万人を超えています。これは、全国のいたるところに血液透析を行える施設が拡がっていること、腎移植のように提供者による治療の制限がないこと、腹膜透析のように患者さん自身で行う必要がないこと、などが普及している要因として挙げられます。血液透析は、合併症が多いこと、食事制限が多くなること、頻回に通院すること、バスキュラーアクセスと呼ばれる血液透析に必要な血管を作成して維持すること、などが必要になります。血液透析は当院でも行える腎代替療法になります。
 次に、A腹膜透析についてですが、自分の体内にもともとある腹膜を使った透析であり、血液透析ほど普及していませんが、通院回数が少なくて済むこと(月に約1回)、透析液の交換時間を自分の都合で多少融通できること、など血液透析に比べると生活の自由度が高いです。一方で、血液透析同様に合併症が多いこと、1日に数回の透析液の交換を毎日自分で行わなければならないこと、など患者さん自身にかかる負担は大きくなります。また、腹膜の機能は経時的に落ちてしまうため、5〜8年前後を目安に、途中でほかの腎代替療法へ切り替える必要があります。
 最後に、B腎移植ですが、腎代替療法の中でも最も生活の自由度が高く、良好な生命予後が期待できる治療方法です。そして、末期腎不全に対する唯一の根治的治療であり、腎移植が成功し、腎機能が回復・維持し続ければ、以後の腎代替療法は必要ありません。しかし、日本では年間1500人前後とそれほど普及していません。普及を阻んでいる最大の原因は、腎臓の提供者が必要であることであり、生体腎移植では健康な親族の方にメスを入れて腎臓を提供していただかなければなりません。また、献腎移植(脳死後または心停止後の方で、生前に書面で本人の臓器提供の意思がある場合、もしくは本人の意思が確認できない場合でもご家族の承諾がある方から臓器提供されます)については、日本は諸外国に比べて臓器提供が圧倒的に少なく、献腎移植を希望しても、腎移植をうけるまでには10数年にわたる長い待機期間があり、その間は透析を受けながら過ごさなければならないという問題があります。
 どの腎代替療法の方法が優れているということは決してありません。それぞれの患者さんが自分にあった治療方法を、担当の医師や医療スタッフの方々と相談して決めることが大事になります。

末期腎不全にならないために

 @できる限り早くに発見すること(早期診断)、Aそれ以上に進行させないこと(進行抑制)になります。
 早期診断のためには、年1回の健康診断を受けることが最適な方法となります。そして、健康診断で尿検査異常 (尿蛋白・尿潜血)や腎機能低下(血清クレアチニン値の上昇)、高血圧、高血糖などを指摘されたら、それを放置せずに必ずかかりつけ医を受診しましょう。進行抑制としては、減塩や禁煙、肥満や高血糖の改善で、高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の改善にとりくみましょう。

 

参考

日本慢性腎臓病対策協議会 http://j-ckdi.jp/ckd/index.html

知ろう。ふせごう。慢性腎臓病(CKD) http://www.kyowa-kirin.co.jp/ckd/

腎臓病なんでもサイト https://www.kidneydirections.ne.jp/

MediPress https://dialysis.medipress.jp/