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健康情報

個人差が大きい五十肩

平成28年4月1日

 利根中央病院

        リハビリテーション室

理学療法士 石井 亮

 

 名前はよく聞く五十肩ですが、意外とその症状や対処については知らない方が多いのではないでしょうか。また、間違った対処をして余計に痛みが強くなってしまっている方も多く見られます。今回は、そんな五十肩について解説していきます。

 

五十肩とは?

 そもそも五十肩とは、中年以降(特に50代)に多く発生する「肩関節の痛み」「動きの制限」を主症状とする病気の俗称で、一般的には「肩(かた)関節(かんせつ)周囲炎(しゅういえん)」と診断されます。「周囲炎」とあるように、肩関節はもちろん周辺の筋肉やその他組織に炎症など何らかの障害がおこった状態を指します。

 50代に多く発生するだけであって、幅広い年代に発生する病気です。(40代の方には少し気を使って四十肩と言ったりしますが...)

 

原因は?

 

 肩関節を構成する骨・筋肉・靭帯などの組織が、老化や肩の打撲・軽いケガなど長年のダメージが蓄積されることで炎症や変性を起こすことが主な原因とされていますが、はっきりとした原因がわかっていないのが現状です。

 

症状は?

 

 肩関節は関節の中でも最も多様な動きをする関節で、関節の運動に関わる組織も最も多いため、一言で「肩関節周囲炎(五十肩)」と言っても症状は様々で個人差の非常に大きな病名と言えます。多くの場合、数週間から数か月で徐々に痛みは緩和され、動きも改善してきますが、夜間の痛みが非常に強く腕もほとんど上がらなくなった状態が延々と続くような重い症状に悩まされ、日常生活もままならなくなってしまう方も少なくありません。五十肩だからと安易に無理な運動をするなど適切な対応をしないでいると、手術が必要な重大な症状に発展してしまうことがあります。

 間違った対応で症状を悪化させないためにも、ご自分の今の状態を理解することは非常に重要です。肩関節周囲炎の病態は、主に「急性期」「回復期」「慢性期」の3つに分類されます。

【急性期】

 炎症を起こした筋肉や関節の中の痛みが主にみられ、安静にしていても「ズキズキ」と痛みがあり、腕を動かしたとき(運動時)や動かした後(運動後)、夜間に痛みが激しくなることが特徴的です。痛みは肩だけでなく腕全体に放散し、むくみを起こす場合もあります。「五十肩は動かさないと良くならない」と思っている方も多くいますが、急性期や症状の強い方に対しては「腱板(けんばん)損傷(そんしょう)」(図1)などの重大な症状を引き起こす危険や、炎症を強くしてしまい非常に危険なため、以下の対応をお勧めします。

@極力動かさない:掃除や洗濯などの家事動作は必要最低限とし、家族に協力してもらいましょう。(夜間に痛みが強く

  出現する場合は、日中の使い過ぎが原因なことが多い)イメージとしては三角巾で腕を吊っているくらいの気持ちです。

A温泉などで温めない。(温められることで炎症が強くなる)

B寝るときはクッションなどでサポートする(図2

C強い症状が長期化したら早めに医療機関を受診する。

図1:右肩関節を正面から見た図。腱板は肩関節の最も深い場所にあって関節を安定させる働きを持つ。腱板と呼ばれる筋は4つほどあるが、図の部分が最も損傷を起こしやすい。60歳以上の約25%の人に損傷があると言われているが無症状や五十肩と似た症状のことが多い 。

図2:写真のパターンが代表的(自分の楽な姿勢になるよう工夫しましょう)

肩から肘までしっかりサポートすることがポイント 。

【回復期】

 急性期のような安静時の痛みは無くなっていきますが、動きの制限や運動時の痛みが残るため無理をせず痛みのない範囲で動かしましょう。

【慢性期】

 動きの制限や運動時の痛みは徐々に改善するため積極的にストレッチや運動を行いましょう。

慢性期になっても動きの制限が非常に強く残ってしまい運動時や夜間の痛みが長く続くといった方もいます。そのような

場合は無理をせず、なるべく早く医療機関を受診して適切な治療を受けることをお勧めします。

 

早めの受診を

 

 現在、病院でリハビリされている多くの方に「もっと早く受診すれば良かった」「間違った対応で痛みを強くしていた」などの声が聴かれます。

 「歳のせいだからしかたない」「この程度で受診しても...」などとあきらめてしまっている方も多いと思います。

痛みや動きの制限がなかなか改善しない方や、いろいろ通ったが良くならないといった場合は早めに専門医に受診することをお勧めします。もしかしたら「五十肩ではなかった!」なんてこともあるかもしれません。